現在の週刊少年ジャンプを語る上で、外すことができないこの問題。
それは、テレビアニメ化もされて高視聴率を記録し、ジャンプ誌上でも欠かすことのできない人気作品『HUNTER×HUNTER』の問題です。
確かに人気沸騰中のこの作品ですが、休載が非常に多い作品でもあるのです。
ジャンプ本誌を買って最初に見るページが目次(休載のお知らせが載っている)だったりする人が多数いたり、ジャンプ本誌に穴埋めのための新人作家の読み切りギャグマンガが載っていて、“誰が落としたんだ!?”と思っていると、ほぼ間違いなく『HUNTER×HUNTER』だったりするくらい、休載が多いです。
原作者の冨樫先生は、何故そこまで落とすのか?という疑問も生まれてきますが、それが分かれば読者も余計な気苦労をしなくても良いのですけどね。
一般には、絵に拘ってアシスタントなしで1人で描いているためとか、コミケの原稿が忙しい(実際、冨樫先生はコミケに参加されています)ためとか、怠け癖があるためとか、いろいろ言われていますが・・・。
まあ、これだけ休載が多くても連載が続いているのは、それほど面白くて人気があるということですし、1999年32号・2000年11号・2000年47号・2001年35号では、下書きなしの殴り書き状態で掲載される(コミックスでは、全面的に描き直されています)など大幅に絵が荒れましたが、それでも他の作品よりは十分に面白かったりするわけですから、何とも言えませんね。
また冨樫先生のペースを優先してか、2001年からは、毎週の掲載ページ数がそれまでの19ページから15ページに減っています。
編集部としても週刊連載ということを考えて、ページ数を減らして確実に掲載させるための措置と思われます。
まあ、最初の頃は“急病”で休んでいたのに、最近は“作者の都合”で休むようになるなど、最初は編集部による気遣いというか、取りあえず体裁を取り繕っていた感じがあるのですが、休載が当たり前になるにつれて編集部が次第に投げやりな感じになってきているのがよく感じ取れたりしますし、絵が荒れた1999年32号・2000年11号・2000年47号・2001年35号をコミックス用に描き直すためにジャンプ本誌を休載するなど、本末転倒な事態にもなっていただけに、ページ数減は妥当なところでしょう。
余談ですが、前々作の『幽★遊★白書』では、いわゆる“ジャンプシステム”に冨樫先生が反発して、ストーリー半ばで中途半端に連載が終了しています。
この内情を明らかにした本によると、当時の冨樫先生は仙水編の頃には疲れ切っており、連載を終了させたいということを言ったにも関わらず、人気のある作品はどこまでもストーリーを引き延ばす(『DRAGON BALL』が有名ですね)という編集部の方針で無理矢理連載を続けさせられ、これに反発して魔界トーナメント編を途中で投げ出してしまったということです。
ちなみに、この魔界トーナメント編の結末には多くの読者が驚いたことと思いますが、原作で描かれなかったこの戦いは、テレビアニメにおけるオリジナルストーリーで一応完結しています。
このような対立により、冨樫先生と編集部の間には深い溝ができたものと思われますが、現在の『HUNTER×HUNTER』の度重なる休載を編集部が簡単に許していることから、力関係は冨樫先生の方が上のようです。
原作の休載がテレビアニメの進行に与えた影響
下のリストをご覧になっていただければお分かりかと思いますが、アニメの放映が始まった時点で、原作では既にヨークシンシティ編に入っており、ハンター試験編と天空闘技場編のストックがありました。
が、原作が休載と掲載ページ数減を繰り返したため、あっという間にアニメが原作に追いつくという困った問題が発生してしまいました。
『HUNTER×HUNTER』は、原作コミックス11巻までをアニメ化していますが、アニメの最終話の放映日が2001年3月31日なのに対して、コミックス11巻の発売日が2001年3月2日で、コミックス最新刊にアニメが完全に追い付いてしまっています。
おまけにアニメ終了時点で、当時コミックスには未収録だったアニメ未放映のジャンプ本誌掲載分を含めても、僅か10週分しかストックがないという状態でした。
原作付きの作品をアニメ化する場合、普通はコミックスを参考にして制作することが多いのですが、『HUNTER×HUNTER』の場合はアニメが原作に追い付いてしまっていたため、ヨークシンシティ編の終盤の話は、アニメの制作段階ではコミックスが発売されておらず、ジャンプ本誌掲載分から脚本などを起こしていたようです。
ただそのために、フジテレビでは2001年3月10日に放送された第60話“クラピカ×暗殺団×ゾルディック”において、今後のストーリーに大きく関わると思われる部分で致命的なミスがありました。
この回では、団長に対するネオンの四行詩の予言が披露されます。
以下は、その予言の一部です。
幕間劇に興じよう
新たに仲間を探すもいいだろう
向かうなら束がいい
きっと待ち人に会えるから
これは、週刊少年ジャンプ2000年41号に掲載されたものです。
そして、アニメもこの通りでした。
これのどこが問題なのか?
この四行詩の“束”の部分、実は誤植なんですよ(^_^;)
本当は“東”です。
ジャンプ本誌では“束”に“たば”と振り仮名を振っていることから、写植の段階での誤植だと思われますが、コミックスではしっかりと“東”に修正されていました。
これで困ったのがアニメスタッフです。
あれが誤植などとは知らず、ジャンプ本誌から脚本を起こしてしまったわけですから。
この回が収録されたコミックスの発売日は3月2日でしたが、第60話の放映は3月10日でしたから、既にアフレコなどは済ませていたものと思われます。
ジャンプ本誌の2000年41号は2000年9月に発売されていて(この頃、アニメでは天空闘技場編)、ジャンプ編集部でもすぐに誤植に気付いたのでしょうが、まさかこの時には“コミックスが発売されていないので、ジャンプ本誌掲載分からアニメの脚本を起こす事態”になるとは思ってもいなかったでしょうから、ジャンプ編集部からアニメスタッフには連絡が行かなかったのでしょう。
ネット上などで、ジャンプ本誌掲載時の誤植を知らない人(おそらくコミックス派の方)が、“アニメスタッフしっかりしろ~”みたいなことを書いているのを見かけることがありますが、アニメスタッフを責めても仕方のないことでしょう。
そもそもは、原作が休載しまくったのが原因なのですから。
ちなみにアニメ終了後に発売されたジャンプ本誌で、予言の“東”に絡んで団長が東へ向かうという描写があるので、もし再アニメ化されることがあった時はこの辺をどうするのか、気になるところです。
中途半端に終わってしまったアニメ版ですが、ヨークシンシティ編に入ってからは視聴率も上昇し、フジテレビも放映延長に前向きだったことから、原作の休載がなくストックがもっとたくさんあれば、アニメはまだまだ続いていたものと思われます。
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